初めての大会にエントリーすると、なぜか練習が急にしんどく感じられます。スパーリングの一本一本が試験のようで、階級表を何度も開いてしまう。私もそうでした。振り返ってみると、初めての大会で結果を分けるのは技術よりも準備でした。計量で落ちないこと、道着チェックで引っかからないこと、自分の試合の順番を逃さないこと。この3つを押さえておくだけで、マットの上で使える余力がかなり残ります。
以下の内容はIBJJFのルールを基準にまとめています。国内の大会にはIBJJFルールをそのまま使うところもあれば、一部を変えているところもあるので、エントリーした大会の要項も必ず合わせて確認してください。
エントリー前に:階級と計量の方法をまず確認する
階級を選ぶときに一番多い失敗は、普段の体重で選んでしまうことです。IBJJFの階級は 道着を着た状態の体重が基準です。道着の重さはだいたい1.5〜2kgほどなので、裸の体重で考えていると、想定より1階級上になることがあります。成人男子の道着階級の上限は次のとおりです。
- ルースター 57.5kg(127lb)・ライトフェザー 64kg(141.6lb)・フェザー 70kg (154.6lb)
- ライト 76kg(168lb)・ミドル 82.3kg(181.6lb)・ミディアムヘビー 88.3kg(195lb)
- ヘビー 94.3kg(208lb)・スーパーヘビー 100.5kg(222lb)・ウルトラヘビー 制限なし
もっと大事なのは計量の方法です。IBJJFの大会では 最初の試合の直前に、道着を着たまま計量し、チャンスは1回だけです。オーバーした場合は、その場でその階級を失格になります。前日に計量して一晩で回復できる方式ではないので、初めての大会で無理な減量はしないほうがいいと思います。試合当日の朝の体重に道着の重さを足して、1kg以上の余裕が残る階級を選びましょう。国内の大会は、当日計量かどうか、道着込みかどうかが大会ごとに違うので、要項でこの2点を先に探してください。
Post Black Beltでは、設定の「言語・国・重量単位」でkgとlbを選べます。海外の大会のようにポンドで階級が表示されている場合は、単位を切り替えておけば階級の範囲をすぐに比較できます。
道着チェックで引っかからないために
IBJJFの大会では、計量の前に検査官が道着を確認します。通らなければ着替えなければならず、予備がないと試合に出られないこともあります。引っかかりやすいポイントはだいたい決まっています。
- 色は白、ロイヤルブルー、黒のいずれかで、上衣と下衣の色をそろえる必要があります。襟の色だけが違う道着も認められません。
- 袖丈、ズボンの丈、袖口の幅を測ります。何度か洗濯して縮んだ道着は、袖が短くなって引っかかりやすいです。大会前に、腕を前にまっすぐ伸ばして、袖が手首の近くまで届くか確認しておきましょう。
- 帯は幅4〜5cmで、黒帯でなければ先端に黒いバー(黒い線の入った部分)が必要です。腰に2回巻いてしっかり結び、結び目の下に20〜30cmほど残します。
- 男性は道着の上衣の下にTシャツを着ることはできません。女性は体にフィットしたラッシュガードを必ず中に着ます。
手足の爪は前日に短く切って、指輪やピアスは家に置いていくのが無難です。
ポイントと反則技:最低限ここまでは知っておく
ポイントは、ポジションを3秒間安定してキープして初めて入ります。スイープしてすぐに立ち上がり、また返されてしまうと、ポイントではなくアドバンテージだけが残ることが多いです。初めての大会で一番もったいないのがこの場面です。ポジションを取ったら3つ数えてから、次の動きに移りましょう。成人白帯の試合は5分で、ポイントが同じならアドバンテージ、次に反則の数、最後にレフェリーの判定で勝敗が決まります。
白帯で反則になる技も知っておく必要があります。IBJJFルールの反則技の表を見ると、白帯が使える下半身の関節技はストレートフットロックだけです。ヒールフック、ニーバー、トーホールド、カーフスライサー、膝をひねる技、相手の脚の後ろに太ももを入れて膝を外側から内側へ圧迫するニーリーピングは、すべて反則です。ストレートフットロックも、攻められていない側の足の方向へ体を回すと反則になります。上半身では、リストロックとバイセップスライサー、クローズドガードから脚で腰や肋骨を締めつける技が禁止で、相手を持ち上げてマットに叩きつけるスラムやシザースのテイクダウンも認められません。普段道場でやっている技でも大会では反則になることがあるので、よく使う技がある人は、コーチに一度確認してもらうのがおすすめです。
大会1週間前から当日まで
1週間前
新しい技を覚える時期はもう過ぎました。今週は、自分のゲームプランを1つに絞って繰り返します。立ち技からどう始めるか(テイクダウンか引き込みか)、下からいちばん自信のあるスイープを1つ、上からのパスガードを1つ、そして仕留めるサブミッションを1つ。それぞれ1つずつで十分です。スパーリングの強度は少し落として、ケガだけは避けましょう。トーナメント表が出たら、試合の予想時刻を確認しておきます。
前日
カバンを先に準備しておきます。道着2着(検査で引っかかったときのために)、帯、身分証とエントリー確認画面、スリッパ、水とバナナやエナジーバーのような消化のいい軽食、テーピング、タオル。睡眠は、普段より早く寝ようと頑張るより、いつもの時間に横になるほうが意外とよく眠れます。
当日
会場には、予想時刻よりも余裕を持って早めに着きましょう。大会の進行は前の試合の結果によって、早まったり遅れたりします。着いたら自分のマット番号と呼び出し方法を確認し、試合の30分前くらいから軽く体を温めます。最初の試合の前に食べすぎると、計量でもマットの上でも損をします。
緊張は消すものではなく、使うもの
初めての大会で緊張しない人はいません。手が震えて、最初の組み手を取る前にもう息が上がっています。これは体が準備をしているサインなので、無理に抑え込まなくて大丈夫です。私が効果を感じたのは、試合の直前にやることをごく小さく決めておく方法でした。「最初の組み手は襟、取れたらすぐ引き込む」くらいで十分です。最初の10秒が計画どおりに進めば、あとは思ったより自然についてきます。
負けることも覚悟して臨みましょう。初めての大会の本当の目的は、メダルよりも、自分のゲームが本番のプレッシャーの中でどう崩れるかを見ることです。それがわかると、これから数か月の練習の方向が決まります。
大会が終わったら、その日のうちに記録する
試合の内容は、思っているより早く忘れてしまいます。その日の夜、遅くとも翌日までに、何が通用して、どこで止められたかを書いておきましょう。私は練習日誌と同じやり方で短く書いています。 柔術の練習日誌の書き方で紹介した4行(習ったこと、うまくいったこと、詰まったところ、次の目標)は、大会の記録にもそのまま使えます。
Post Black Beltには、大会を別に記録できる場所があります。大会名と日付、出場した部門とメダルを残しておくと、道着の大会の場合は、その時点の帯も帯の保管庫の記録をもとに一緒に表示されます。大会カテゴリで書いた日記はマイページでまとめて見られるので、次の大会の準備をするときに、前回の準備の過程や試合後に感じたことを見返しやすいです。
よくある質問
白帯でも大会に出ていいですか?
大丈夫です。ほとんどの大会が白帯の部門を別に設けています。むしろ早めに一度出てみると、練習で何を優先すべきかがすぐに見えてきます。
計量で体重がオーバーしたらどうなりますか?
IBJJFの大会はチャンスが1回だけで、オーバーするとその階級は失格です。国内の大会には階級変更を認めているところもあるので、要項を確認しましょう。
道着は新しく買わないといけませんか?
いいえ。色と寸法の規定に合っていれば大丈夫です。ただ、長く着て縮んでしまった道着は袖の長さで引っかかることがあるので、事前に確認しておきましょう。
参考資料
- IBJJF — Rule Book:ポイント、試合時間(成人白帯は5分)、同点時の扱い、道着・帯の規定、帯別の反則技の表
- IBJJF — World No-Gi Championship 2026 イベント案内:最初の試合の直前に計量、チャンスは1回、オーバーしたら失格
- IBJJF 道着の階級表(Gi weight divisions、道着着用時の体重が基準)




